グリーン周りからのアプローチでさ、
ザックリしたりホームランしたり・・・
ありますよね
あっちいって、こっちいって
それでスコア崩しちゃう
気分も下がりますよね
確かにアプローチは
スコアメイクの要となる
ショットですね
というわけで今回は「アプローチショット」のお話です。
いきなりですが皆さんは、83ホール連続ノーボギーの日本記録を持っているプロゴルファーをご存知ですか?
横田真一プロです。
横田プロがご著書の中でこう記されています。
「プロもショットは曲がります。パットが下手な人もいます。でも、スコアはまとまる。これはひとえにアプローチのおかげ。プロにアプローチが下手な人はいません。」
記録保持者が語るこの言葉は説得力があります。
私、クラフトマンをしていた時
一度だけ横田プロのウエッジの
ロフト角調整をさせていただきました
横柄なところが全くなく、優しい方でしたよ
思い出話は置いておいて、
例えばスコアの40%を占めると言われているパッティングは、間違いなく重要ですが、実はアプローチがスコアをまとめる要であることは認識しておきましょう。
ところでアプローチショットというのはちょっと定義が曖昧です。
何ヤード以内のショットをアプローチショットと呼ぶという決まりは特にありません。
50ヤード以内と言う方もあれば、100ヤード以内と言う方もあります。
ただ一般的には「グリーン周りからのアプローチショット」とか「50ヤードのアプローチショット」のように表現します。
100ヤードだと一般女性の7番アイアンくらいの飛距離になるため、アプローチショットと言えなくなります。(一概に飛距離だけで決めることができない。)なので大体50ヤード以内をアプローチショットとイメージすれば妥当です。
(ちなみに男性を基準にしても100ヤード位なら「ウエッジショット」という表現があるにはあります。アバウトではありますが。)
今回は主に「グリーン周りからのアプローチ」について、初心者の方に向けてお話させていただきます。
アプローチショットの基本【考え方】
入門者や初心者の方は特にシンプルに考えましょう。
シンプルにというのは、
①転がしていけるかな?
②ちょっと上げて転がしていけるかな?
③たくさん上げないといけないかな?
という順番で考えてみるということです。
〔上級者になれば、想像力と経験値の向上で弾道(球の高さやスピン量等)、落とし場所、転がる距離、グリーンの勾配、芝目、風などを瞬時に判断しているわけです。〕
①から③にはそれぞれ呼び名があります。
①をランニングアプローチ
②をピッチエンドラン
③をロブショット
と言います。
難易度がこの順番(①より②、②より③)で上がります。
元々日本ではこの呼び名が多かったようですが、他に「チップショット」と「ピッチショット」という表現を耳にすることがあります。
これは日本の考え方と少し違っているようです。(日本でも使うワードです。)
チップショットは主に転がして寄せる方法で、ランニングアプローチとほぼ同義で使われます。
(キャリーの短いピッチエンドランでもそう呼ぶことがあります。)
ピッチショットはそれより球を上げて寄せる方法で、必ずしもピッチエンドランやロブショットと同じではありません。
転がすか上げるかでイメージすればいいと思います。
他にもピッチエンドランのことをBUMP&RUNと言ったり、CHIPPING STYLESの中にBUMP&RUNとPITCHというショットがあるという区分けも存在します。
一応辞書で調べてみると、
CHIP=掠(かす)れる。うばいとる。かすめてとおる。
PITCH=勾配。傾く。
などの意味があります。
字面で考えると分かりにくいので、イメージでとらえておくのがおすすめです。
実際は会話の中で、
どんな感じで寄せますか?
高めの球であまり転がらないように
寄せたいので、ピッチショットで
とか、
転がしていけそうなので
ランニングアプローチで
といった会話のイメージができれば問題ありません。
アプローチショットの基本【打ち方】
アプローチショットはフルショットを小さくしたものに、少しアレンジを加えます。
(スイングの基本をご覧いただくと、更に理解が深まりますのでぜひ。)
アドレスから見てみましょう。
アドレス
・スタンス幅は狭くします。ボール1個分からシューズの幅位が目安です。
(飛距離が長くなると、もう少しスタンスを広くします。)
普通のスタンス幅だとなぜダメなの?
ダメということはありませんが、アプローチでは飛距離ではなく正確性をより求められます。
飛ばせる(飛ばすための)構えで短い距離を打つのは、かえって難しいです。
飛ばない構えでしっかり打つ方がミスしにくいです。
・スタンスの向きはややオープンにします。
(スクエアではダメということはありません。)
「ややオープン」とかがあいまいで
難しいよね
残念ながらどれくらいオープンにすればいいというのはないです。
プロの試合とかを見て参考にするのはおすすめです。
あえて言えば5㎝~10㎝位左足を引く感じでしょうか。(意図してもっと引くことはあります。)
スタンスをオープンにすると言った時、スタンス(足)だけするのか、腰もするのか、肩はどうなのかといった疑問がわくかもしれません。
アプローチショットの場合、
・スタンスだけオープンにする。
・スタンスと腰だけオープンにする。
・スタンスも腰も肩もオープンにする。
という3つの方法があります。
これはそれぞれでやりたいことが違うために起こる違いです。
スタンスだけオープンにする場合はフォロー側の振り抜きを良くしたい(スピンをかけたい)という意図が見えます。インパクト直後にヘッドがインに動くとスピンが多くかかりやすく、逆にアウトに動くとスピンがかかりにくく転がりを多く出せます。
スタンスと腰オープンにするパターンは、意図としては上記と変わりませんので、ここはあまり神経質になる必要はありません。
スタンスも腰も肩もオープンにする場合は、アウトイン軌道で打ちたい意図が出てきます。
軌道は肩のラインに影響されます。
肩がオープンということは、クラブヘッドが飛球線に対して外に上がりやすくなり、スピンをかける要素になります。
これが狙いなら肩もオープンに構えます。
ただ初心者の方はまずスタンスも腰も肩も、少しだけオープンにする方法で十分です。
(やりにくければ肩はスクエア(=飛球線と平行)にするのもおすすめです。)
アドレスというのは「やりたいことの準備」と考えると理解しやすいと思います。
・体重は左足にやや多くかけます。
左足に6、右足に4で、6:4といったところです。
実際は感覚なので、多少ずれても問題ないです。
左右対称の5:5だとどうなるの?
5:5でも打てますしダメでもありません。
ただ6:4位の方がミスの確率が減ると考えられています。
実は体重配分を変える時、注意すべきことがあります。
それは左足に体重を多くする時、左に身体を傾けるのではない(左肩を下げていくようなやり方ではない)ということです。(場合によりこのやり方を採用することはあります。)
左肩が下がるとクラブヘッドが鋭角に下りすぎて、刃(リーディングエッジ)が刺さってフォローが出なくなるなどのミスを誘発します。
そうではなく、肩のラインはそのままに、腰を左にスライドしていくようにして、体重配分を変えます。
(上体、頭は腰のスライドに伴って左に動きます。)
この動きをすると体重配分を変えるというより、重心が左に動いた結果左足に体重が多くかかった、という感覚になると思います。
初心者の方はここを勘違いしやすいので気をつけましょう。
さらに知っておいていただきたいのは、左足体重にすることで軸ブレなく打てる(=正確にミートできる)だけでなく、最下点を左に移動して、よりダフリにくくする効果を出しているということです。
最下点は支点の真下にくると考えられるわけですが、スイングの支点はほぼ頸椎(首の骨)にあり、先程ご説明したやり方で左に重心を移した時、頸椎も左に移動するのが確認できると思います。(図は少し大げさに表現しています。)
こうしたことからも、6:4の体重配分は意味を持つと言えます。
次に手の位置の基本を考えてみましょう。
・ハンドファーストに構えます。
〈ハンドファーストとはクラブヘッドより手が前(自分から見て左)になる構えです。
外観上はシャフトが斜めになった状態です。〉
ただ、やり過ぎに注意です。
やり過ぎるとリーディングエッジが地面に刺さりやすくなり、ソールも滑らせられないので、アプローチの難易度が逆に上がってしまいます。(お客様に多いパターンでした。)
クラブヘッド、シャフト、左手、左腕、左肩が一直線になります。
その状態で球位置がスタンスの真ん中から右にあれば自然なハンドファーストができます。
その状態と右腕で「y」(小文字のY)が形作られていたら正しい構えができている証拠です。
これで基本の構えは出来ました。
次はボール位置についてです。
ボール位置
ボールの位置についても「支点・最下点」の考え方が役立ちます。
状況や考え方にもよりますが、アプローチの場合ほぼ最下点で打つことが基本となります。
それを考慮してボール位置を決めます。
最下点は支点つまり頸椎の真下(分かりにくければ、ほぼ背骨の真ん前)に来ます。
ここにボールを置けば最下点で打てます。
この場合のボール位置はスタンスの真ん中と表現されます。
ただよく見るとこれはスタンスがスクエアの時の見え方です。
右足踵を中心につま先を左に回してオープンスタンスを作ると、ボールポジションは正面から見て右足つま先の前にも見えます。
つまりスタンスを基準にボール位置を決める場合は、いつも同じスタンス幅、同じ向きが要求されるわけです。もちろんそれができれば何も問題はありません。
しかし例えば「背骨の真ん前が最下点」という理屈を元にボール位置を決める場合、スタンス幅や向きの再現性からは解放されます。
おすすめはこうです。
・最下点で打ちたい→背骨の真ん前にボールを置く。
・絶対ダフリたくない→背骨の真ん前より右にボールを置く。
背骨の真ん前より右にボールを置く程度は自分で実験してつかむしかありません。
ロフトが立ち低い球になってきますが、上手くいけば低くスピンの効いた球が打てます。
では高い球を打つ基本はどう考えればいいでしょうか。
一般的には左足側にボールを置く形になります。
しかしこれは、背骨の真ん前の最下点を過ぎたややアッパーブローで打つ理屈になります。
これはダフリ・トップが出やすいデメリットを含みます。
ではボールを中心に自分が反時計回りに回っていくとどうでしょう。
(フェース面は目標方向を向いたまま、シャフトを右に倒していって、結果的にロフトを増やしていく形になります。グリップは握り直します。)
こうすると、自分から見る構え方は同じ(フェースは自分から見て開いている)でも正面から見るとボールは左足に寄ってきます。
自分に対しての球の位置は変わらず、背骨の真ん前にキープできるため、最下点でのヒットも可能になります。(逆をすると低い球を打つことができます。)
ここまででアドレスの基本とボール位置の考え方をマスターしました。
それでは実際のスイングはどのようにすればよいでしょうか。
スイングの仕方
基本のアプローチは、スイングの仕方自体はシンプルです。
(ただし応用はたくさんあります。)
基本的に下半身は使いません。
体重移動もなしです。
アドレスでの重心位置をキープしたまま打ちます。
クラブは腕ではなく上体で動かします。
背骨の後ろを軸として、右向いて左向いてという動作です。
肩の回転で打つという方がピンとくる方はその感覚でOKです。
ただその際の肩の回転角度は注意しないと、クラブの軌道が変になります。
背骨に対して90°で回すイメージをもってください。
最初は小さい振り幅でコック(手首)を使わず打ちましょう。
アドレスで作った「y」の形をインパクト後も崩さず打てればスイングの形は完成です。
悪い例はインパクトからフォローにかけて左手首が甲側に折れてしまうパターンです。
(応用としてのテクニックにはそういう打ち方もあります。)
この段階では特に素振りを練習しましょう。
お客様で、素振りの段階で芝(マット)を擦っていない(クラブヘッドが地面に届いていない=トップしている)方が多くいらっしゃいました。
これでは打つ時もトップする確率が高いです。
「最下点の管理」ができていません。もったいなさすぎます。
素振りでは芝(マット)を擦る!
素振りに意味を持たせましょう。本番のきちんとしたリハーサルになるように。
小さい振り幅に慣れたら腰から腰の振り幅も練習しましょう。
この振り幅だと少しコックが入ってくるのが自然です。
手首をがちがちに固める必要はありません。
腕も力で伸ばすのではなく、リラックスして伸びているのが正しいです。
小さい振り幅も少し大きい振り幅もリズム・テンポに注意しましょう。
同じリズム・テンポで打てるということは、想像以上にミスを減らしてくれるので、ぜひ信じて実行してみてください。
詳しくはゴルフメトロノームで練習をご参照ください。
次に、代表的なミスであるダフリ・トップをなくしていく方法を考えてみましょう。
ダフリ・トップをなくすには
ダフリ・トップというのは言い換えると「最下点の管理ができていない状態」です。
アドレスがきちんとできていると、その時点で最下点はほぼ決まっています。
それがスイングをすると崩れてしまいダフリ・トップのミスが出るわけです。
なぜ崩れるのか原因を探っていきましょう。
まずチェックすべきは「前傾角の維持」です。
全てのショットに共通するスイングのポイントですが、アプローチも例外ではありません。
軸を保ってスイングする意識はありますか?
結果としてヘッドアップをしなくなります。
逆もまた真なりで、ヘッドアップしないように練習すると、軸ブレがなくなります。
次に「手打ちをしない」です。
小さいスイングだからといって、手でクラブをあやつってはいけません。
身体の回転によって手が動かされ、クラブが動かされるのです。
全然手を使わないのではなく、主従関係を間違わないようにということです。
(例えば、両脇にタオルを挟んで打てますか?とても効果的な練習です。)
手打ちにも関連しますが、「バックスイングを大きくしすぎない」ようにしましょう。
大きく上げて打つ時に速度を緩める、いわゆる減速するスイングはダメです。
スイングは加速(場合により等速)が原則です。
(ロブショットなどは等速を意識した方が上手くいく場合があります。)
少しメンタル的なことも含みますが「大事に打とうとしすぎる」のも結構ダフリ・トップのミスにつながります。インパクトで上体の回転がにぶるのはよくありません。
ボールを打とう、ボールに当てようとする意識の表れです。
「当てよう」とするより、「振ったら当たる」を信じた方が上手くいくものです。
よどみなくスムーズに上体(胸)をターゲットに向かって回しましょう。
ある程度打てるようになったら、距離感を鍛えていきましょう。
距離感のつかみ方
基本は二つの考え方があります。
・感覚に頼る。感覚を磨く。
・振り幅で決める。
「感覚に頼る(磨く)」は、例えば手でボールを目標に投げるようなものです。
繰り返すことで出来るようになっていくのでシンプルに感じます。
「振り幅で決める」とは、例えばバックスイングを膝まで上げて打ったら20ヤード、腰まで上げて打ったら30ヤードという具合に、振幅に対する距離を覚えて打ち分ける方法を言います。
どちらが正解というわけではありませんが、まずは振り幅で決める方をおすすめします。
理由は、感覚というのは回数を重ねて磨かれるので時間がかかります。
振り幅は、それより機械的ですぐに実践できるからです。
もちろん経験を重ねれば、振り幅で覚えた技術に感覚がプラスされてくるので、両者の明確な区分はなくなってきます。
振り幅で距離をつかむのはイメージとして時計の文字盤を使います。
クラブヘッドの位置(あるいは手の位置)で考えます。
ここでの決め方は精密である必要はありません。
「自分の感覚」でOKです。ただ再現性は必要です。
7時5時、8時4時、(これはノーコック)、9時3時(これはほんの少しコックが入る)で振って何ヤード飛ぶかを覚えます。
もう少し振って手が肩から肩の振り幅の飛距離も取っておきましょう。
ポイントはフォローをバックスイングと同じ(もしくは大きめ)に出し、加速するスイングを基本とすることです。(状況によりフォローが取れない時は除く)
言い方を変えると振り幅は小さくても、加減してゆっくり打っているのではなく、「小さい振り幅のフルスイング」とも言えます。
アプローチと言えども体幹をしっかり使ったショットです。
この辺の考え方だけでもショットの質は向上します。
ところで番手についてはどう考え、何を選択したらいいのでしょうか?
番手の選び方
アプローチショットなんだから
AW(アプローチウエッジ)で
いいんじゃないの?
番手の選び方は条件によって異なるので、簡潔な区分けは困難です。
ただ大まかには二つあります。
・なるべく一つのクラブで技術を駆使して打ち分ける。
・打ち方は同じで番手を変える。
まずは技術を駆使して打ち分けるより、番手を変えた方が簡単なので、こちらからトライしてみてください。
考え方の1例をご紹介します。
経験が浅い時に、アプローチってどこにボールを落とせばいいのか全く分からないと思います。
そうした場合、グリーンエッジから1mのところにボールを落とすと仮定します。
そしてその落ち場所からカップまでの距離を見ます。
落ち場所からカップまでの距離が長い場合、7番アイアン位が選択肢に入ります。
これが短い場合、SW(サンドウエッジ)を選びます。
そしてこの時のキャリーとランの比率を覚えます。
ただこれは人によって結果が変わります。
例えばキャリーとランの比率が1:1とした時、ある人はそれが9番アイアンであったり、PWであったり、SWだったりすることもあります。
これについての主な理由が3つあります。
・同じ番手でもロフト角が違う。
・打ち方でインパクトロフトが変わってしまう。
・ヘッドスピードが違う。
(*インパクトロフトというのは正に打った時のロフト角で、アドレスの時の静的なロフト角に対し、動的なインパクト時のロフト角と言えます。)
他にもクラブヘッドの重心位置の違い、溝の違い、使うボールの違い等も考えられます。
そのためこればかりは地道に正確にデータを取るしかありません。
ただ1番手上げるとランの比率が1ずつ上がる傾向はあります。
例えば、
PW=1:1 9I=1:2 8I=1:3 7I=1:4 6I=1:5
PW=1:2 9I=1:3 8I=1:4
といった感じです。
実際にはあまり番手が多すぎるとわけがわからなくなるので、まずは3本ピックアップするのがいいでしょう。(SWとAWと9Iとか、SWとPWと7Iなど。)
その他にもフェアウェイウッドを使った寄せ(転がし)も有効な場面があります。
グリーンエッジ近くでボールが深めのラフにある場合など、大きいヘッドを活かし通常のパッティングのように打てることがあります。
番手選びについてはイメージできたでしょうか?
ただコースではその他に、「この斜面ではどうやって打ったらいいの?」といった感じで、また分からないことが発生します。
次はその「斜面」について見ていきましょう。
ここからはある程度距離のあるアプローチも想定してのお話です。
(フルショットでも同じ考え方でOKです。)
斜面での打ち方
ゴルフは下手だと余計に斜面に行きやすく、打ち方もままならないので、さらにスコアを落としてしまう非情な?スポーツです。
ちなみに斜面を表現するには、
・左足上がり(アップヒル)
・左足下がり(ダウンヒル)
・つま先上がり(前上がり)
・つま先下がり(前下がり)
という表現をします。
(実際のコースでは、「左足下がりのつま先下がり」などの複合されたライになることも多いです。)
一応ですが、右足上がりや下がり、踵上がりや下がりとは表現されないので初心者の方は覚えておきましょう。(左足とつま先、前で表現するということです。)
(左打ちの方は右足で表現することはあるようです。)
斜面において、最初は難しいことなんてできません。
斜面にきたらまずこれを考えましょう。
左足上がり、左足下がりの場合は、
左足上がり・左足下がり
共通しての打ち方のコツは、
肩のラインを斜面と平行にする。
ということです。
斜面に立つと、平地と同じようには振れません。
左足上がりだとフォローがとれず、左足下がりだとバックスイングがとれません。
まずそこを解決するため肩のラインを斜面と平行にし、クラブを振れる体勢をとります。
斜度がきついとバランスが取れないため、かなり大きく足を広げる形となります。
結果的に下半身は使えず、大振りもできません。
ここで役立つのが最初に覚えたアプローチ、下半身を使わず打つ技術です。
こういうことがあるからやはり先にきちんと覚えておくべき打ち方です。
この後のことは実践を通して覚えていくしかないのですが、参考になる考え方は「工夫という保険をかける」です。
例えば、左足上がりの場合ボールは上がりやすいのでロフトを減らすといった工夫をする。
ボールが左に行きやすいのでターゲットを右に取るという工夫をする、などがあります。
ではつま先上がりやつま先下がりの基本はどういったことでしょう。
共通する一般論は、
・斜面の高い方から低い方に球が行きやすくなる。
・スイングしてもふらつかない体勢をとる。
・ミスの出にくいアドレスをとる。
ということは例えば、
つま先上がりは左に行きやすいってこと?
でも自分から見てフェースが目標を指して
いれば、そっちに飛ぶんじゃない?
むしろクラブの先が地面に当たって
フェースが開き、右に飛びそうだけど
ごもっともな意見です。
では真実は何なのか?
解説します。
極端なつま先上がりでボールが腰の高さ位にあると想像してみましょう。
そしてその斜面がない(地面の影響を受けない)ものと仮定して、単に腰の高さに浮いているボールを打つとします。
この状態でフェース面を真っすぐ目標に向けると何が起きているでしょうか?
実はフェース面は大きく左を指して(向いて)いるのです。
別に斜面が傾いているから左に行くとかではないです。(斜度の影響は直接ないということ。)
これは「ライ角」を理解すれば簡単です。
大事なところなので詳しくご説明します。
まずは一応「ライ角とは」、
ということですが、このようにクラブのソールを地面と平行に構えた時、フェース面は正しく目標を向くように設計されています。視覚と実際が一致するので問題はありません。
縦の黒いラインが横の黒いラインと直角になっているのが確認できます。
ところがつま先上がりだと、次のようになります。
縦の黒いラインは先ほどと同じく真っすぐなのに対して、横の黒いラインは目標の左を指しています。
ゴルフクラブはロフトがついているため、こういった現象が起こります。
ロフトが大きくなればなるほど、この現象は大きくなります。
(ロフト角が0°なら起こらない現象)
本当だ!
視覚的にはフェース面はきちんと
ターゲットを向いているにもかかわらず
実際、面は左を向いているんですね
すごく重要なことなのに、ここを
きちんと説明しているものは少ないです。
「クラブをアップライトにするとフェース面は
かぶって(左を向いて)きますよね?」と質問
されて、「はい」と答えている動画をよく見かけ
ますが、フェース面は視覚的には決してかぶって
見えません。ましてや本当にクラブヘッドが
左に回ってくるのでもありません。
錯覚なのです!
ここはぜひ理解してほしいと思います。
このような現象が起きるため、つま先上がりではボールが左に行きます。
行くのが正常です。
その他にも横殴りな(フラットな)スイングになるのも左に行く(曲がる)原因となっています。
ではこの左に行って当たり前の状況で、左に行かせなくするために、どういった工夫ができるでしょう。それがつま先上がり(前上がり)での打ち方につながっていきます。
つま先上がり(前上がり)
・クラブを短く持つ。クラブのライがフラットになる→フェース面が右を向く。
・少しアップライト(手を浮かす)に構える→フェース面が右を向く。
・少しフェースを開く→フェース面が右を向く。
・つま先立ちで打つ→クラブをアップライト(縦)に振りやすくなり、フェースの返りすぎを防ぐ。
・目標より右に打つ。
このようなことは、アドレス時点でできてしまいます。
普段のスイングを変えるのは難易度が高いので最低限にし、アドレスを工夫しなるべくスイングを変えない選択をするのがおすすめです。
ちなみに同じつま先上がりという状況で左に行きやすいとしても、フックで攻める方法とスライスで攻める方法があり、決して一律なわけではありません。
つま先上がりのライで右を向いて(スタンスをクローズに)構えると、左足上がりという要素がプラスされます。
そうするとクラブを下から上に振りやすくなり、つまりインサイドアウト軌道に振りやすくなるためフックがかかってきます。(軌道に対するフェースの向きで球筋は決定されます。)
逆につま先上がりのライで左を向いて構えると、左足下がりという要素がプラスされます。
そうするとクラブを上から下に振りやすくなり、つまりアウトサイドインの軌道に振りやすくなるためスライスがかかってきます。
以上のような基本的な理屈を踏まえ、後は実践で鍛えていくしかありません。
ただこうした基礎知識を早く仕入れることが、上達のスピードを速めます。
つま先下がり(前下がり)
つま先下がりのライではつま先上がりとは逆で右に行きやすくなります。
というのが基本的な考えとされています。
でも実際はどうでしょう。
むしろ引っかかったりしませんか?
「つま先上がり」でご説明したとおり、傾斜しているから球が左右に行く(曲がる)わけではありません。
もう一度想像してみましょう。
つま先下がりということは、平地での球位置より下に球があるということです。
クラブヘッドをボールに届かせるための方法は、
①お辞儀をするように前傾角を前に倒す。
②足を大きく広げ膝を深く曲げる。(前傾角を変えない)
の二つです。
(実際には両方の要素が多少入らざるを得ないですが)
球が右に行くという教えは①を採用した時に起こります。
お気づきかと思いますが、ライ角がフラットになるのでフェース面が右を向くので右に行くわけです。
ご覧のとおり、縦の黒いラインは真っすぐに見えても横の黒いラインはターゲットより右を指しています。これでは右に飛ぶのが正解です。
では②を採用して、平地と同じライ角で構えられたとすれば、曲がらないという理屈が成り立ちます。
この状態で引っかかるのは別に理由があります。
それは、
・斜度の影響でクラブヘッドのヒールが地面に引っかかり、クラブヘッドが左に回転してしまう。
・芝がクラブヘッドのネックに巻き付くことで、クラブヘッドが左に回転してしまう。
ということが影響するため、引っかかるということです。
ちょっとまとめてみましょう。
・ボールが足の高さと同じ位置→適正なライ角→真っすぐ飛ぶ
・ボールが足の高さより高い位置→アップライトなライ角→左に飛ぶ
・ボールが足の高さより低い位置→フラットなライ角→右に飛ぶ
まずはここを頭に入れてから、次の対策を取りましょう。
ではつま先下がりに対する具体的な対処方法を見ていきましょう。
・クラブは短く持たず、通常どおりでグリップする。
・足を大きく広げ(できればガニ股で)膝を曲げクラブヘッドをボールに届かせる。
・バランスをとるため大きくても肩から肩までの振り幅でスイングする。
・飛距離が不足する場合は番手を上げて調整する。
・下半身を動かさず、上半身で打つ。
・素振りしてみてヒールが突っかかる場合、フェースを少し開いて(右に向けて)おく。
考え方のポイントはライ角です。
それがどう変化するとフェース面がどう変わるのか。
(ライ角については「ライ角とは?〔身長との関係、アップライト フラットも解説〕」もぜひ参考になさってください。)
次に、
ボールがどのようなライにあるか。
そして、
素振りで確認し、ミスが出にくい対策をする。
これだけ押さえておけば、基礎知識としては十分だと思います。
斜面に来た時の考え方は分かったけど
結構長い芝生の中にボールがある時とか
どうやって打ったらいいの?
一難去ってまた一難・・・。
これも経験がものを言うのですが、基本的な判断の仕方はあります。
注意点などを含めて考えてみましょう。
ライの判断
これも3種類の見方をまずは覚えておきましょう。
基本の判断方法
①ボールが芝に乗っかっている。
②ボールが芝に少し沈んでいる。
③ボールが芝に深く沈んでいる。
①はティーアップしているのと同じです。
・打つのはやさしいですが、だるま落とし(ヘッドがボールの下をくぐる)に注意です。
・ロフトの多いクラブの使用、ダウンブローにしすぎないなどに気をつけてください。
②はボールと地面にスペースがあり打てます。
・ヘッド(ネック側)に芝が絡み、左に出やすいので注意です。
・クラブヘッドを開き芝を切っていく方法などがあります。
③はボールと地面にスペースがなく出すだけになってきます。パワーも必要です。
更にボールの手前が逆目だと難易度は上がり、プロでもミスになりやすい状況です。
いずれの場面も初心者の方はアイアンを使って出すのが精一杯だと考えるでしょう。
ただ素振りしてみて芝をなぎ倒すことができ、ボールの横っ面をたたけるようでしたら、フェアウェイウッドやユーティリティにチャレンジしてみてください。
横から打てれば芝の噛む量が減り、球が上がってくれることも多いです。
フェアウェイウッドやユーティリティはソール幅が広く、芝をなぎ倒す力に優れていますので、怖がらずにやってみてください。
結局、芝というのは種類、長さ、密度が色々あり、順目や逆目もあり、打ち方は実践で磨かざるを得ない部分が多いです。
ただいずれの場面でも、「その高さを振る能力」は求められます。
そのため練習場などで「ティーアップした球を打つ」練習は効果的でおすすめです。
(他のショットの精度も上がります。)
ディボットはどう打つか
「ディボットから打つ」などと普通に言いますが、正しくは「ディボット跡から打つ」です。
ディボットは、主にアイアンショットで芝を削り取り、飛んでいった芝の方を言います。
掘られて残った土の方はディボット跡となります。
砂の上にボールがある状態なので、一種のバンカーショットとも言えます。
(フェアウェイバンカーと同じ状態)
ただし普通のバンカーのようにエクスプロージョンショットをするわけではありません。
(*エクスプロージョンショットとはボールを直接打たず、手前の砂を爆発させることで打つショットのことです。)
普通にショットしたらダメなの?
下が基本的に砂なので、ちょっとでもダフってしまうといいショットにはなりません。
普通に打ってもいい場合はありますが、ミスの確率を減らしたいので工夫をします。
ではダフらずボールに直接コンタクトさせるにはどんな工夫ができるでしょう。
ディボットの深さや、ボールがどこにあるのかで違いは出ますが、共通するポイントは、
・左足体重で構える(最下点が左に移動しダウンブローで打ちやすくなる)
・ボール位置を右にする(鋭角に当たりやすくダフリにくい)
・ハンドファーストに構える(ボール位置が右なので自然になるが)
・大振りしない
さらに深いディボットやボールの位置によっては、
・コッキングを使う
・打って終わり、あるいは低く長いフォローをとる(この辺りは経験が必要)
などの工夫を加えます。
手先で球を上げようとするとミスしやすいので、基本のスイングと同様、大きな筋肉(腹筋や背筋)を使って打っていきましょう。
結局はボールにクラブをどのようにコンタクトさせればいいかを考えます。
そしてそれを実行しやすくするためのアドレスを工夫します。
さらにミスが出にくい身体の使い方があれば取り入れます。
こういったことが元となり、色々な打ち方のレッスンが考えられています。
雨の日の注意点
雨の日のアプローチでの基本は、
・強めに打つ。
「強め」というと力を入れてしまいそうですが、ここでの強めというのは、「いつもの感覚よりたくさん飛ばす」という意味合いです。
最初はこれだけ意識しておきましょう。
芝が濡れるとボールの転がりが悪くなります。
いつもよりランが出ないので、キャリーを長めにとった攻め方が多くなります。
長い距離を打つ場合なら、ヘッドスピードが速くなるため、濡れたラフなどではフライヤーがかかりやすくなるので注意が必要です。
(*フライヤーとはボールとフェース面の間に芝が入り、バックスピン量が減るため、通常よりたくさん飛距離が出てしまうことを言います。)
ゴルフは自然が相手のスポーツでもあるため、同じ条件はありえません。
楽しみながら経験値を増やすことで、ますますゴルフの魅力に気づくと思います。
まとめ
- アドレスは「これからしたいことを表現」しましょう。
- アドレスでできることはこの時点でしておきましょう。
- スイングはシンプルに基本は「y」の形を崩さずに。
- 減速厳禁。加減ではなく加速で打ちましょう。
- リズム・テンポに注意し大きなミスを撲滅しましょう。
- 振り幅で飛距離、キャリーとランの比率を確認しましょう。
- 斜面では肩のラインとライ角の変化に気を付けましょう。
アプローチはスコアメイクの要で、練習に比例して上手くなっていきます。
結果に直結するのでやりがいもあります。
身体的に恵まれている必要もありません。
球筋を想像して、スイングを創造していくのは面白いです。
ぜひ楽しみながら、色々実験してみてください。
やってはダメなことなんてありませんから。
今回は以上となります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
心おきなくゴルフが楽しめる世の中でありますように。
コメント